祖父母の監護者指定と面会交流、2021年の最高裁は何を判断した?

公開日: 2026年10月25日

孫の世話をしてきたのに、家族の事情が変わり、これからの養育や交流の話が進まない。家庭裁判所に相談しようと調べると、「祖父母は申し立てられない」という昔の判例が出てくることがあります。

2021年3月29日の最高裁は、父母以外の者による「監護者指定」と「面会交流」の申立てについて、同じ日に別々の決定をしました。どちらも、当時の制度では、事実上子を監護してきたというだけで、その申立てをすることはできないと判断したものです。

ただし、今も親族の申立てがすべて認められない、という意味ではありません。2026年4月からは、父母以外の親族と子との交流を定める制度があります。何を求める手続なのかと、いつの制度なのかを分けることが、この記事の入り口です。

育てる役割を定めることと、交流を定めること

「監護者指定」は、子を監護する者を定めることです。これに対し、もう一つの事件で求められた「面会交流」は、祖父母自身と子との面会やその他の交流を定めることでした。身の回りの世話を担う話と、交流を続ける話は、同じ手続ではありません。

監護者指定の事件では、事実上子を監護してきた祖母が、監護者を定める審判を申し立てました。原審は、子の福祉を全うするため、事実上の監護者である祖父母なども申し立てることができると考えました。

最高裁は、当時の民法766条の仕組みを読み、これを是認しませんでした。条文は、父母が協議をし、それがまとまらないなどの場合に、父母の申立てで家庭裁判所が定めることを予定しているとしたのです。父母以外の者の申立てを許す規定はなく、実際に監護してきたことだけで、父母と同じ立場にはできないと説明しました。

子の利益を最優先すること自体を、否定したわけではありません。その原則と、誰がこの審判を申し立てられるかという法律上の根拠を分けた判断です。最高裁は原決定を破棄し、最初の審判を取り消して、監護者指定の申立てを却下しました。

面会交流の事件では、申立てと抗告の資格が問題になった

もう一つの事件は、祖父母が自分たちと子との面会交流を定めるよう求めたものです。

原審は、事実上子を監護してきた人と子との間に、父母と同じような親密な関係があり、交流が子の利益になると考えられる場合には、当時の民法766条を類推して認める余地があると考えました。「類推」とは、条文に直接書かれていない場面にも、その趣旨を及ぼして考えることです。

最高裁は、こちらも是認しませんでした。監護の事実だけで父母と同じ立場にはできず、子の利益を優先する原則だけから、第三者の申立資格を導くこともできないとしました。当時の制度の下では、父母以外の者が、自分と子との面会交流を定める審判を申し立てることはできないという判断です。

さらに、最初の却下審判に即時抗告できるかも検討しています。当時の家事事件手続法156条4号で抗告できる「子の父母及び子の監護者」に、本件の祖父母は当たらないとしました。最高裁の主文は、原決定を破棄し、最初の審判に対する祖父母側の抗告を却下する、というものです。監護者指定の事件と、主文の処分対象まで同じではありません。

二つの決定を、祖父母の愛情や養育能力を否定した判断として読むことはできません。また、決定後にそれぞれの家庭でどのような監護や交流が行われたかも、ここで紹介する裁判書からは分かりません。

2026年には、親族との交流を定める規定がある

2026年10月21日に確認した民法766条の2では、家庭裁判所が、子の利益のため特に必要があると認めるとき、父母以外の親族と子との交流を実施する旨を定めることができます。同法817条の13第4・5項にも、親族交流と一定の親族による請求についての規定があります。民法766条の2・817条の13

現在の裁判所案内では、原則として父又は母が申し立てます。交流を求める親族自身が申し立てるのは、交流について定めるため、ほかに適当な方法がない場合です。案内は、その例として父母の一方の死亡や行方不明などを挙げています。

親族側の対象についても条件があります。子の直系尊属、つまり祖父母などや兄弟姉妹のほか、それ以外の親族は、過去にその子を監護していた場合に限られます。祖父母などについても、「ほかに適当な方法がない」という前の条件は省けません。裁判所「父母以外の親族と子との交流に関する調停」

そして、申立てができることと、交流の実施が認められることは別です。審判で交流を定めるには、子の利益のため特に必要だと認められることが求められます。大人が会いたいという希望だけで、実施が決まる制度ではありません。

現在の家事事件手続法156条2項には、一定の親族が、親族交流の処分の審判や申立てを却下する審判に即時抗告できる規定もあります。2021年の旧4号の説明だけで、今の抗告資格を答えることはできません。家事事件手続法156条

新制度の話を、監護者指定へそのまま広げない

ここで紹介した新しい規定は、親族と子との交流についてのものです。親族に監護者指定の申立資格が一般に与えられた、と読み替えることはできません。

また、2026年の改正法附則2条は、原則として施行前に生じた事項にも新民法を適用するとしつつ、旧法で生じた効力を妨げないとしています。新制度ができたから、過去に却下された事件が自動的に再開する、という説明にはなりません。過去の裁判がある場合は、その書類も含めて相談してください。民法・令和6年法律33号附則2条

編集部は、「育ててきたのだから当然」とも、「昔の判例があるから無理」とも、先に結論を決めないことを勧めます。子を育てる役割を定めたいのか、交流を続けたいのか。それを分けるだけでも、相談の問いは変わります。

これからの生活で、何を保ちたいかを相談へ

相談前には、求めていることを短く書いてみてください。日々の監護を担うことなのか、会う機会を持つことなのか、連絡や交流の方法を決めることなのか。すでに裁判があるなら、その種類と結果も分けておきます。

自分で安全に確認できる書類や、これまで担ってきた養育の概要で構いません。子の言葉を証拠にするため聞き出したり、会うために居場所を探したり、予告なく接触したりすることを、編集部は勧めません。子に負担をかけず、今後の生活で困る点を専門家へ伝えることから始めてください。

子どもの生活の整理は子どもの暮らしと将来の案内へ。法律相談の利用条件は法テラスの案内で確認できます。この記事で、あなた自身の申立資格や交流の可否を決めることはできません。

判例の出典

  • 監護者指定:2021年3月29日・最高裁判所第一小法廷決定。判例詳細/公式裁判書PDF。主文・申立ては1頁、理由は2〜3頁。
  • 面会交流:同日・同小法廷決定。判例詳細/公式裁判書PDF。主文・申立ては1頁、理由は2〜3頁、抗告資格は3頁。

判例紹介・制度案内の確認日:2026年10月21日。2021年の判断と、現在の制度の一般案内を分けて紹介しています。

この記事を書いた人

福田

54歳・女性・東京都在住。19年間の婚姻生活のあと41歳で調停離婚を経験。「弁護士費用がもったいない」と自分で調停に臨んだが、財産分与で1000万円近く損をした。この後悔がサイトを立ち上げたきっかけ。法律の専門家ではないが、法務省や裁判所の公開情報をもとに、正確な情報を届けることを続けている。

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