うつ病の夫との離婚を認められるケースと条件とは?精神病を原因に確実に離婚をする方法をレクチャー!
最終更新日: 2026年6月1日
2026年4月1日施行の改正民法により、法定離婚事由のひとつだった「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(旧民法770条1項4号)が削除されました。
うつ病を理由に離婚するためには、現在では「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)にあたるかどうかで判断されます。古い情報をもとに行動すると判断を誤るリスクがあります。
2026年4月の法改正で「精神病」は離婚事由から削除。うつ病を理由に離婚するには「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)の立証が必要になった。
「夫がうつ病で、もう限界」「夫のせいで自分がうつ病になった」——どちらも、離婚を考える理由になりえます。
ただし、2026年4月に民法が改正され、うつ病に関する離婚の法的根拠が大きく変わりました。この記事では改正後の正しい内容をもとに、2つの状況(相手がうつ病 / 自分がうつ病にさせられた)に分けて解説します。
このページの目次
この記事はどちらの状況の方向けですか?
| 状況 | 該当する方 |
|---|---|
| 相手がうつ病 | 配偶者(夫・妻)のうつ病で婚姻生活が続けられない |
| 自分がうつ病にさせられた | 配偶者のモラハラ・精神的DVによりうつ病を発症した |
相手がうつ病——離婚を検討している方へ
Q. 配偶者がうつ病の場合、離婚できますか?
離婚できる可能性はあります。ただし「うつ病である」という事実だけでは離婚は認められず、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)にあたるかどうかを総合的に判断することになります。
2026年改正後の判断基準
2026年4月の改正前は、「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがない」という独立した離婚事由が存在しました。改正後はこれが削除され、うつ病を含む精神疾患を理由とした離婚は「婚姻を継続し難い重大な事由」として判断されます。
「婚姻を継続し難い重大な事由」かどうかを判断する際に考慮されるとされている要素:
- うつ病の重症度と継続期間
- 治療の状況と回復の見通し
- うつ病によって婚姻生活が実質的に機能しているかどうか
- 介護・生活サポートの負担の程度
- 別居の有無と期間
- 子どもへの影響
これらを総合的に判断するため、「必ず離婚できる・できない」という一律の基準はありません。個別の状況は弁護士に相談することをおすすめします。
離婚を認めてもらいやすい状況とは
① 長期間にわたり婚姻生活が実質的に破綻している
うつ病の発症から数年が経過し、夫婦の共同生活・会話・性生活が長期間にわたって失われている状態。「一時的な不調」ではなく「関係の実質的な破綻」が重要とされています。
② 治療を続けても改善の見通しが立たない
主治医の診断書や通院記録から、症状の経過・治療の状況・改善の見通しが示せる場合。「相当期間の治療を経ても改善が見られない」という状況が重視されます。
③ 献身的な支援を続けた記録がある
裁判所は、離婚を求める側が「療養に協力してきたかどうか」を重視する傾向があるとされています。通院への付き添い、医療費の負担、介護の記録など、支援の事実を記録しておくことが重要です。
④ 長期別居状態にある
別居が2〜3年以上続いている場合、「婚姻関係の破綻」として認められやすくなります。
離婚後の相手の生活・療養について考えておくこと
裁判所は、うつ病の配偶者との離婚を認める際に「離婚後の配偶者の生活や療養の見通し」を重視するとされています。可能であれば弁護士とともに、離婚後の相手の生活見通しも含めた計画を立てておくことをおすすめします。
相手がうつ病で離婚する場合の慰謝料
Q. 相手がうつ病であることを理由に慰謝料を請求できますか?
うつ病自体は「離婚の有責事由」ではないため、うつ病であることだけを理由とした慰謝料請求は難しいとされています。ただし、うつ病の原因が相手のモラハラや精神的DVにある場合は、それを有責事由として慰謝料を請求できる可能性があります。
自分がうつ病にさせられた——モラハラ被害者の方へ
Q. 夫のモラハラが原因でうつ病になりました。離婚と慰謝料を請求できますか?
できます。夫のモラハラ・精神的DVが原因でうつ病を発症した場合、夫側に「有責事由」があるため、離婚請求と慰謝料請求が認められる可能性が高いとされています。
「精神的に追い詰められていると、『自分の感覚がおかしいのかもしれない』と思うようになります。毎日の価値観の否定と無視によって、判断力がどんどん失われていくような感覚でした。離婚後に振り返ると、それがモラハラだったと気づきました。」
(執筆者・furuta / 2022年協議離婚経験)
2024年4月施行:精神的DVでも保護命令が取れるようになりました
2024年4月1日施行の改正DV防止法により、身体的暴力がなくても精神的DV(うつ病・PTSD・適応障害などの診断がある場合)で保護命令を申し立てられるようになりました。改正後の接近禁止命令の期間は1年間(改正前は6ヶ月)。違反時の罰則は「2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金」に強化されています。
保護命令の申立てに必要なもの:
- 医師の診断書(うつ病・PTSD・適応障害等):最も重要
- 通院記録:継続的な受診が確認できるもの
- 録音・LINEスクリーンショット・日記など(合わせて揃えると効果的)
慰謝料の相場と請求のポイント
モラハラ・精神的DVによる慰謝料の相場は50万〜300万円程度とされています。
慰謝料を高くする要素:
- 医師の診断書がある(うつ病・PTSD・適応障害等)
- 行為の継続期間が長い
- 録音・日記・LINEなど証拠が複数ある
- 子どもへの影響が記録されている
うつ病の状態で離婚交渉を進めるための3つのステップ
ステップ①:別居して安全な環境を確保する
うつ病の状態でモラハラ加害者と同居したまま交渉を続けることは、精神的に非常に困難です。まず別居して加害者から距離を取ることが最優先です。別居後は婚姻費用(生活費)を相手に請求できます。
ステップ②:弁護士に交渉代理を依頼する
うつ病の状態では、相手との直接交渉は精神的な負担が大きく、不利な結果になりやすいとされています。弁護士を代理人として立てることで、相手と直接接触する必要がなくなります。法テラス(日本司法支援センター)では、収入が少ない場合の弁護士費用立替制度(審査あり)を利用できます。
ステップ③:証拠を集めながら手続きを進める
今からでも遅くありません。別居後・調停中であっても証拠の収集は続けられます。
離婚を拒否された場合の手順
話し合いから始める(協議離婚)
まず夫婦間の話し合いで離婚に合意することを目指します。相手がうつ病の場合、弁護士を代理人として立てると、相手と直接接触せずに交渉を進められます。
合意できなければ家庭裁判所の調停へ
家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚調停)」を申し立てます。費用は収入印紙1,200円程度。調停委員を介して話し合いを進めるため、相手と顔を合わせずに手続きを進められます。
調停不成立なら離婚訴訟へ
調停が不成立の場合、家庭裁判所に離婚訴訟を提起できます。現在は「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるかどうかを、症状の程度・継続期間・婚姻関係への影響・別居状況などを総合的に判断して裁判所が決定します。個別の状況については弁護士に判断してもらうことをおすすめします。
離婚後の生活費・利用できる公的支援
| 支援制度 | 対象・内容 |
|---|---|
| 児童扶養手当 | 18歳未満の子どもを養育するひとり親世帯への手当 |
| ひとり親医療費助成 | 医療費の自己負担を軽減(自治体により異なる) |
| 障害年金 | うつ病・精神疾患が障害の程度に該当する場合(要申請) |
| 自立支援医療 | 精神疾患の通院医療費を1割に軽減(精神通院医療) |
| 生活保護 | 最低生活費に満たない場合 |
よくある質問
Q. 離婚を切り出したら夫のうつ病が悪化しそうで怖いです。どうすればいいですか?
あなたが離婚を言い出すことで相手の病状が悪化した場合でも、それはあなたの法的責任にはなりません。弁護士に相談の上「直接ではなく書面で伝える」「弁護士から伝える」という方法も検討できます。
Q. 2026年4月の法改正前に離婚を検討していた場合、旧法は使えますか?
使えません。2026年4月1日以降に提起される裁判・申し立てには改正後の法律が適用されます。「強度の精神病」を根拠とした離婚申立ては、改正後は認められません。「婚姻を継続し難い重大な事由」での申立てに切り替える必要があります。
Q. 相手がうつ病の場合、親権はどうなりますか?
親権の判断は「子どもの福祉のために、どちらが監護する方が適切か」という観点で判断されます。相手がうつ病であっても、それだけで自動的に親権が得られるわけではありません。自分が主に子どもの世話をしてきた実績(監護実績)と、今後の監護能力・生活環境が重要です。
Q. 自分がうつ病の状態で、離婚調停に出廷できますか?
状態によっては、弁護士に出廷してもらい、本人は欠席することも可能な場合があります。弁護士に相談して対応方法を決めてください。
Q. 慰謝料を請求されました。相手はうつ病ですが、応じる必要がありますか?
うつ病であることは、それ自体では慰謝料請求の根拠になりません。あなたがモラハラや精神的DVに該当する行為をしていなければ、請求に応じる法的義務はないとされています。調停・裁判で争う場合は弁護士に依頼することを強くおすすめします。
Q. 弁護士費用が払えません。どうすればいいですか?
法テラス(日本司法支援センター)では、収入・資産が一定基準以下の方に弁護士費用の立替制度(審査あり)を提供しています。電話:0570-078374(平日9〜21時、土9〜17時)。多くの弁護士事務所で初回無料相談を実施しています。
30代・女性・千葉県在住。2022年に協議離婚。6年間の婚姻生活の中で、価値観の否定と精神的な圧力が続き、最終的に離婚を決意した。「相手に証拠はあるのか」という一言で慰謝料交渉が崩れた経験から、「知識があれば結果は違った」という思いでこの記事を書いている。
まずは無料相談から
一人で悩まず、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。
初回無料相談を受け付けている事務所もあります。
費用が心配な方は法テラス(日本司法支援センター)の無料相談もご活用ください。
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本記事は、離婚に関する一般的な情報の提供を目的としており、 個別の法律相談・法的アドバイスを行うものではありません。
記事の内容は、執筆時点の法律・判例・実務に基づいており、 法改正・判例変更等によって内容が変わる場合があります。 最新の情報については、必ず弁護士等の専門家にご確認ください。
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【法改正対応について】
本記事は2026年5月現在の法律に基づいています。
共同親権制度(2026年4月施行)等の重要改正については、
最新の法律情報をご確認ください。
この記事を書いた人
furuta
【基本情報】 furuta(ふるた)|30代・女性・千葉県在住 離婚経験: 2022年 協議離婚(調停なし)|婚姻期間: 6年|子どもの有無: なし 主な離婚理由: 価値観の不一致(生活スタイル・将来設計のズレ) 【プロフィール】 夫とは6年間一緒にいたが、「子どもを持つかどうか」という根本的な価値観のズレが修復できなくなり、2022年に協議離婚を決めた。 離婚自体はスムーズに進んだが、問題は慰謝料だった。夫の浮気は証明できなかったため有責配偶者認定はなかったが、「精神的苦痛に対する慰謝料」を求めて交渉に臨んだ。当初100万円を目標にしていたが、相手に「証拠はあるのか」と言われた瞬間に言葉に詰まった。結局、話し合いで手にしたのは20万円。弁護士に相談していれば、少なくとも交渉の余地はあったと今でも思う。 「知らなかったこと」が損失に直結する。それがこのサイトを書き続ける理由だ。 【担当ジャンル】 協議離婚の進め方・段取り/慰謝料の請求・相場・交渉/モラハラ・価値観の不一致による離婚/離婚全般の入門記事 この著者が担当する理由: 協議離婚を経験したことで、「法的手続きを踏まずに交渉した場合の限界」を実体験として把握している。弁護士に頼らない選択肢の現実を書けるのは、実際に経験した者だけ。 【情報収集・執筆プロセス】 1. 法務省・裁判所・e-Govの公開資料で法的根拠を確認 2. 記事内の数値(慰謝料相場・算定基準)は判例タイムズ等の公開データを参照 3. 法改正があった項目は官報・法務省告示を必ず確認(2026年4月改正民法対応済み) 4. 記事公開後も法改正・判例変更があった場合は更新 「弁護士への相談が必要な案件」「ケースバイケースの要素が大きい内容」は必ず「弁護士への相談をおすすめします」と明記している。


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