セックスレスで離婚できる?証拠・慰謝料・手順を完全解説
最終更新日: 2026年5月31日

セックスレスを理由とした離婚は、夫婦の合意があれば協議・調停で成立する可能性があります。裁判が必要な場合は「1年以上のセックスレスで婚姻関係が破綻している」ことを証明できれば認められる場合があります。慰謝料の目安は50万〜200万円ですが、証拠の有無・期間・背景によって大きく変わります。
どれだけ求めても断られ続ける毎日。寂しさと自己否定が積み重なって、もうこれ以上は続けられない——セックスレスは、表面には見えにくいけれど、確かに夫婦関係を壊していきます。
日本家族計画協会が2016年に実施した「男女の生活と意識に関する調査」によると、既婚者のセックスレス割合は30代28%・40代35%・50代45%と非常に高く、多くの夫婦が抱えている問題です。「自分だけおかしいのかな」と思う必要はありません。
この記事では、セックスレスで離婚を考えているすべての方に向け、法的な条件・証拠の集め方・慰謝料の目安・手順をすべて解説します。
📌 この記事でわかること
- セックスレスの定義と「離婚が認められる状態」の違い
- 離婚が認められる3つのケース(合意・長期レス・浮気)
- 証拠の集め方(具体的チェックリスト付き)
- 慰謝料の相場と条件別の比較表
- 別居中の生活費・婚姻費用の請求方法
- 協議→調停→裁判の手順と体験談2件
このページの目次
セックスレスの定義|どこからがセックスレスなのか

性科学の専門機関である日本性科学会は、セックスレスを次のように定義しています。
「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1カ月以上ないこと」
出典:日本性科学会
ただしこれはあくまで一般的な定義であり、「どちらかがセックスを望んでいるのに、相手が拒み続けている状態」が離婚を考える上で重要な要素です。双方が望まなければセックスレスとは言えません。
前戯しかしてくれない場合はセックスレスになるのか
日本性科学会の定義では「性交あるいはセクシュアル・コンタクト」と表現されており、挿入性交だけを指しているわけではありません。ただし「前戯だけで一方が不満を抱え続けている場合」はセックスレスの状態と判断されることがあります。
離婚の文脈では、「性的な欲求が満たされていないことで精神的な苦痛が生じているか」という点が重要です。
セックスレスで離婚が認められる3つのケース
民法第770条の法定離婚事由を踏まえると、セックスレスを理由とした離婚が認められるのは主に次の3つのケースです。
ケース①:双方が離婚に合意している(協議・調停離婚)
お互いが「このままの夫婦関係は続けられない」と納得していれば、協議離婚はすんなり成立します。理由がセックスレスであっても、双方の合意があれば問題ありません。
話し合いがうまくいかない場合でも、家庭裁判所の調停であれば、調停委員が中立の立場で間に入ってくれます。調停も合意ベースのため、法的な離婚理由は不要です。
参考:法務省|公正証書について
ケース②:長期間のセックスレスで夫婦関係が破綻
裁判で離婚が認められるためには、セックスレスによって「婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)」があると証明する必要があります。
判例上は、1年以上のセックスレスが続いており、話し合いを試みても改善がなく、夫婦関係が実質的に破綻していると認定される場合、離婚が認められることがあります。ただし期間だけでなく、その間の夫婦のコミュニケーション状況も考慮されます。個別の事情によって結果は異なりますので、必ず弁護士にご相談ください。
離婚後の修復が不可能な状態であることを示す証拠(話し合いを試みたメール・日記など)が重要です。
ケース③:セックスレス中に相手が浮気をしていた
夫婦間でセックスがない状態で、相手が他の人と肉体関係を持っていた場合は「不貞行為(民法770条1項1号)」が成立する可能性があります。これは最も強力な離婚事由の一つであり、慰謝料も請求できる場合があります。
参考事例:【弁護士が答える】セックスレスで離婚はできる?専門家の意見
証拠収集の具体的な方法
セックスの問題はデリケートであるだけに、証拠を残しにくいと感じる方が多いです。しかし次の証拠は法的な場面でも有効です。
✅ セックスレス離婚で有効な証拠チェックリスト
- 日記・記録:いつからセックスレスが始まったか、求めて断られた経緯・回数を具体的に記録。日時が特定できるものが有効
- 話し合いの履歴:セックスの問題について話し合ったLINE・メール・手紙のやりとりのスクリーンショット
- 生活スケジュールの記録:共に過ごす時間があったにもかかわらずセックスが行われなかった状況を示すもの
- 医師・カウンセラーへの相談記録:性的な問題を理由にカウンセリングを受けた記録(セックスレスの深刻さを示す)
- 浮気の証拠(ケース③の場合):相手の浮気を示す写真・メッセージ・探偵の報告書
⚠ 注意:相手のスマートフォンやSNSを無断で覗き見・ハッキングした場合、不正アクセス禁止法や個人情報保護法に違反する可能性があります。証拠収集は適法な範囲で行い、不明な場合は弁護士に相談してください。
このままは嫌!セックスレスで離婚が認められる状況
以下の状況に当てはまる場合、離婚が認められる可能性が高まります。
| 状況 | 離婚の認められやすさ |
|---|---|
| 双方の合意あり | ◎ 協議離婚で即成立 |
| 1年以上のセックスレス+話し合いを試みた記録あり | ○ 調停・裁判で可能性あり |
| 浮気が発覚(不貞行為) | ◎ 裁判でも認められる |
| 長期別居が続いている | ○ 別居期間次第で認められる |
| セックスレスのみ・証拠なし・合意なし | △ 裁判での認定は困難 |
別れるだけじゃ納得できない!慰謝料はもらえるのか
セックスレスによる慰謝料の相場
セックスレスを理由に慰謝料を請求できるのは、相手の拒否行為によって精神的損害を受けたことを証明できた場合です。
| 慰謝料が高くなる条件 | 目安金額 |
|---|---|
| 結婚してからセックスがほぼゼロ | 100万〜200万円 |
| 婚姻期間が長い+セックスレス期間も長い | 100万〜200万円 |
| 不貞行為(浮気)が発覚した場合 | 100万〜300万円 |
| セックスレスのみで証拠が弱い場合 | 50万〜100万円 |
※慰謝料は個別の事情・婚姻期間・証拠の有無・相手の資産状況によって大きく変わります。上記は目安です。必ず弁護士に相談してください。
できるだけ高い慰謝料を得るための証拠
- セックスレスになる前後の経緯がわかる日記・メモ
- 改善を求めた話し合いの記録(LINEのスクリーンショットなど)
- 夫婦の生活スケジュールがわかるメモ(二人の時間があってもセックスを拒んでいた証拠)
- 精神的ダメージを受けた記録(心療内科の診断書など)
養育費は必ず公正証書に残す
子どもがいる場合は、養育費を必ず取り決めておきましょう。裁判所の養育費・婚姻費用算定表(令和元年版)を参考にした金額を基準に、公正証書化することが重要です。
公正証書に「養育費の支払いが滞った場合は強制執行を認める」という強制執行認諾文言を入れておけば、不払い時に給与や口座を差し押さえることができます。
セックスレスが原因で別居を考えている方へ

「このまま同じ屋根の下にいたくない」と思ったとき、別居は有効な選択肢です。
別居中も夫婦には「生活保持義務」があり、収入差がある場合は収入が少ない側が婚姻費用(生活費)を請求できます。
婚姻費用の目安(夫年収600万円・妻専業主婦・子ども1人の場合)
- 別居の婚姻費用:月10〜12万円程度
出典:裁判所「養育費・婚姻費用算定表(令和元年版)」
別居は離婚を有利にするか?
別居期間が長くなると、「夫婦関係が実質的に破綻している」という証拠になり、調停・裁判で離婚認定されやすくなります。ただし復縁を望む場合は、別居期間が長くなるほど不利になるため、方針を早めに決めることが重要です。
別居中に相手が浮気したら慰謝料は請求できる?
別居前から既に浮気が始まっていた場合は慰謝料を請求できます。ただし長期別居によって「婚姻関係が既に破綻していた」と認定されると、慰謝料請求が難しくなるケースもあります。状況に応じて弁護士に相談してください。
セックスレスで離婚するための手順
セックスレス離婚の5ステップ
STEP1:まず話し合いを試みる
離婚を決める前に、一度だけセックスレスの問題について冷静に話し合いましょう。相手の仕事の忙しさ・健康上の理由・性的な好みのズレなど、解決可能な原因があるかもしれません。
それでも改善の余地がないとわかったら、離婚に向けて動き始めます。
STEP2:証拠収集と専門家への相談
セックスレスの経緯を記録し、話し合いの履歴(LINEなど)を保存します。この段階で弁護士か離婚相談サポートに相談することで、どの証拠が有効かを把握できます。
STEP3:協議離婚を申し入れる
夫婦で話し合い、離婚条件(親権・養育費・財産分与・慰謝料)を決めます。まとまったら公正証書化を必ず行いましょう。相手にプレッシャーを与えるために、「離婚を求める」という意思表示を内容証明郵便で送るのも効果的です。
STEP4:調停離婚
話し合いが成立しない場合は家庭裁判所に調停を申し立てます。調停委員が中立の立場で間に入り、プライベートな問題も別室で安全に話せる環境が整っています。
STEP5:離婚裁判(最終手段)

調停が不成立の場合は裁判へ進みます。セックスレスを理由とした裁判では、婚姻関係が破綻していることを証明する必要があります。デリケートな問題を法廷で明かすことには抵抗があるかもしれませんが、弁護士と戦略を組んでから臨むことが重要です。
体験談
体験談①:3年間のセックスレスで調停離婚(30代・子ども1人・東京在住)
「結婚して2年目からほぼゼロになりました。最初は仕事が忙しいのかなと思っていましたが、3年間話し合いを試みても変わらず。私が求めるたびに夫は黙って別室に行ってしまいました。
離婚を決意したのは、友人が同じ状況で離婚していることを知ったとき。『自分だけじゃないんだ』とわかって、やっと動けるようになりました。
弁護士に相談したところ、LINEで『一緒に考えよう』と送って無視された記録が証拠として使えると言われました。調停では慰謝料80万円と親権を取得して離婚成立。もっと早く動けばよかったです。」
体験談②:夫の浮気が発覚してセックスレスの意味がわかった(40代・子ども2人・大阪在住)
「5年間のセックスレスでした。夫は『疲れている』と言い続け、私も我慢してきました。ところが夫のスマートフォンに他の女性とのメッセージが残っていて、すべての意味がわかりました。
探偵に依頼して、二人でホテルに入る決定的な写真を入手しました。これが不貞行為の証拠になり、裁判を経ずに協議で離婚が成立。慰謝料200万円・子どもの親権・養育費を取り決め、公正証書にしました。
証拠があると交渉がまったく違います。感情的に進めず、最初から弁護士に相談したことが正解でした。」
よくある質問(FAQ)
まとめ
セックスレス離婚|重要ポイントまとめ
- 双方が合意していれば協議・調停で理由を問わず離婚できる
- 裁判では「1年以上のセックスレス+婚姻関係の破綻」の証明が必要
- 浮気(不貞行為)が発覚した場合は最も強力な離婚・慰謝料の根拠になる
- 証拠は「日記・LINEの記録・カウンセリングの記録」が有効
- 慰謝料の相場は50万〜200万円(状況・証拠・期間次第)
- 別居中も婚姻費用(生活費)を請求できる
- 養育費・慰謝料の取り決めは必ず公正証書化する
セックスレスの問題は人に話しにくく、一人で抱え込みがちです。しかし解決策は必ずあります。まず相談するだけでも、次の一歩が見えてきます。
⚠ 免責事項
※本記事は離婚経験者の体験に基づく情報提供であり、法的助言ではありません。具体的な法律問題については弁護士にご相談ください。
📋 この記事の参考情報・一次ソース
- 日本家族計画協会|男女の生活と意識に関する調査(2016年)
- 日本性科学会|セックスレスの定義
- e-Gov法令検索|民法第770条(裁判上の離婚・法定離婚事由)
- 裁判所|離婚調停の手続き
- 裁判所|養育費・婚姻費用算定表(令和元年版)
- 法務省|公正証書について
- 日本司法支援センター(法テラス)|無料法律相談
※本記事は公開情報をもとに作成しています。個別の事案については弁護士等の専門家にご相談ください。
※本記事は離婚経験者の体験に基づく情報提供であり、法的助言ではありません。具体的な法律問題については弁護士にご相談ください。
まずは無料相談から
一人で悩まず、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。
初回無料相談を受け付けている事務所もあります。
費用が心配な方は法テラス(日本司法支援センター)の無料相談もご活用ください。
免責事項・ご利用にあたって
本記事は、離婚に関する一般的な情報の提供を目的としており、 個別の法律相談・法的アドバイスを行うものではありません。
記事の内容は、執筆時点の法律・判例・実務に基づいており、 法改正・判例変更等によって内容が変わる場合があります。 最新の情報については、必ず弁護士等の専門家にご確認ください。
本記事の内容を参考にした結果生じたいかなる損害・不利益についても、 当サイト運営者および監修者は責任を負いかねます。 重要な法的判断は、必ず資格を持つ弁護士にご相談ください。
【法改正対応について】
本記事は2026年5月現在の法律に基づいています。
共同親権制度(2026年4月施行)等の重要改正については、
最新の法律情報をご確認ください。
この記事を書いた人
furuta
【基本情報】 furuta(ふるた)|30代・女性・千葉県在住 離婚経験: 2022年 協議離婚(調停なし)|婚姻期間: 6年|子どもの有無: なし 主な離婚理由: 価値観の不一致(生活スタイル・将来設計のズレ) 【プロフィール】 夫とは6年間一緒にいたが、「子どもを持つかどうか」という根本的な価値観のズレが修復できなくなり、2022年に協議離婚を決めた。 離婚自体はスムーズに進んだが、問題は慰謝料だった。夫の浮気は証明できなかったため有責配偶者認定はなかったが、「精神的苦痛に対する慰謝料」を求めて交渉に臨んだ。当初100万円を目標にしていたが、相手に「証拠はあるのか」と言われた瞬間に言葉に詰まった。結局、話し合いで手にしたのは20万円。弁護士に相談していれば、少なくとも交渉の余地はあったと今でも思う。 「知らなかったこと」が損失に直結する。それがこのサイトを書き続ける理由だ。 【担当ジャンル】 協議離婚の進め方・段取り/慰謝料の請求・相場・交渉/モラハラ・価値観の不一致による離婚/離婚全般の入門記事 この著者が担当する理由: 協議離婚を経験したことで、「法的手続きを踏まずに交渉した場合の限界」を実体験として把握している。弁護士に頼らない選択肢の現実を書けるのは、実際に経験した者だけ。 【情報収集・執筆プロセス】 1. 法務省・裁判所・e-Govの公開資料で法的根拠を確認 2. 記事内の数値(慰謝料相場・算定基準)は判例タイムズ等の公開データを参照 3. 法改正があった項目は官報・法務省告示を必ず確認(2026年4月改正民法対応済み) 4. 記事公開後も法改正・判例変更があった場合は更新 「弁護士への相談が必要な案件」「ケースバイケースの要素が大きい内容」は必ず「弁護士への相談をおすすめします」と明記している。


最近のコメント