【2026年法改正】財産分与の請求期限が5年に延長!適用ケースと情報開示命令の使い方を解説
公開日: 2026年5月31日
【この記事でわかること】
- 2026年4月から財産分与の請求期限が「2年→5年」に延長された内容
- 2026年4月以前に離婚した人に遡及適用されるかどうか(重要)
- 「情報開示命令」と5年延長を組み合わせた財産隠しへの対抗策
- 「もらえる側」が5年以内にやっておくべきこと
- 「守る側(高所得者・経営者)」が注意すべきリスク
「離婚後3年が経ちますが、相手が財産を隠していたことがわかりました。今から財産分与を請求できますか?」——2026年4月以降、こうした問い合わせが増えています。
2026年4月1日に施行された民法改正により、財産分与の請求期限が「離婚後2年以内」から「離婚後5年以内」に延長されました。また同時に「情報開示命令」が新設され、相手が財産を隠しているケースへの対抗手段が強化されました。
この記事では、「いつからの離婚に適用されるか」「情報開示命令をどう使うか」「財産を受け取りたい側・守りたい側それぞれがどう対応すべきか」を解説します。
なお、本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別ケースへの法的アドバイスではありません。具体的な対応は必ず弁護士にご相談ください。
このページの目次
財産分与の請求期限が2年から5年に延長:改正の概要

改正の内容:起算点は「離婚成立日」から
2026年4月1日施行の民法改正により、財産分与の除斥期間(請求できる期限)が延長されました。
| 項目 | 改正前(〜2026年3月) | 改正後(2026年4月〜) |
|---|---|---|
| 財産分与の請求期限 | 離婚後 2年以内 | 離婚後 5年以内 |
| 起算点 | 離婚成立日(離婚届受理日) | 離婚成立日(離婚届受理日)※変更なし |
| 法的性質 | 除斥期間(時効と異なり、中断・停止なし) | 除斥期間(同左) |
| 「財産を後から知った場合」の起算点 | 離婚成立日(知った日ではない) | 離婚成立日(同左)※注意 |
重要な注意点:起算点は「財産の存在を知った日」ではなく「離婚成立日」です。「離婚から3年後に相手の隠し財産を発見した」場合でも、改正後(2026年4月以降の離婚)であれば5年以内なので請求できますが、4年後・6年後の発見では請求期限内かどうかが変わってきます。
「除斥期間」とは何か:時効との違い
財産分与の期限は「消滅時効」ではなく「除斥期間」です。除斥期間は、時効と異なり「中断・停止」ができません。相手と話し合っている最中でも、請求しないまま5年が過ぎると権利が消滅します。
「請求するかどうか迷っている間に期限が切れた」というケースを避けるため、離婚後は早めに弁護士に相談して財産分与の方針を決めることをお勧めします。
経過措置:2026年4月以前の離婚は5年延長の対象外
「5年延長」は2026年4月以降の離婚にのみ適用される
競合サイトの中には、この点を曖昧に書いているものがあります。明確に答えます:2026年4月1日より前に離婚が成立した場合、「5年延長」は適用されません。
⚠️ 経過措置の整理
| 離婚成立時期 | 適用される期限ルール | 現在請求できるか(2026年5月時点) |
|---|---|---|
| 2026年4月1日以降 | 5年(新ルール) | ✅ 2031年3月31日まで請求可能 |
| 2024年4月〜2026年3月 | 2年(旧ルール) | ⚠️ 2026年中に期限切れのケースあり。急いで確認を |
| 2024年3月以前(離婚後2年超) | 2年(旧ルール) | ❌ 原則として期限切れ |
※ 個別の事情によって異なる場合があります。弁護士に確認してください。
特に注意が必要なのは、2024年4月〜2026年3月に離婚した方です。旧ルール(2年)が適用されるため、離婚後2年以内に請求しなければ権利が消滅します。「まだ1〜2年あると思っていたら期限が迫っていた」というケースが発生しています。早急に弁護士に相談してください。
情報開示命令との「セット活用」で財産隠しに対抗する

情報開示命令とは(2026年4月1日施行・新設)
財産分与の期限延長と同時に、「情報開示命令」が新設されました。これは、家庭裁判所の手続きを通じて相手に財産の開示を命じる制度です。
改正前は、相手が財産を隠していても把握する手段が限られていました。改正後は、以下が変わりました。
- 家裁が当事者に財産状況の開示を命令できる
- 預貯金・不動産・株式・保険の解約返戻金等が開示の対象
- 開示を拒否したり虚偽の申告をした場合は10万円以下の過料(罰則)
5年延長×情報開示命令のセット活用フロー
【フロー図】財産隠しへの対抗:5年延長+情報開示命令
隠されていた財産も発見
→ 過料(記録に残る)
※ 除斥期間(5年)内に申立てを行う必要があります。期限間際になってから動くと対応が難しくなります。
執筆者・成田のひとこと
私の離婚は自分に有責行為があったため、慰謝料200万円の支払いという結果になりました。財産分与の交渉でも、自分に不利な条件を突きつけられたとき「これが適正なのか」を判断する基準を持っていませんでした。今回の情報開示命令の新設は、財産を持つ側にとって「隠し通せない制度ができた」ということを意味します。自分の経験から言えば、財産分与の交渉には必ず弁護士を立ててください。素人同士の交渉は必ず不利な側が泣き寝入りします。
「もらえる側」が5年以内にやっておくべきこと
「5年あるから大丈夫」は危険な発想
除斥期間が5年に延長されましたが、「5年あるから慌てなくていい」は危険です。離婚後に時間が経つほど、証拠の収集が難しくなり、財産の特定も困難になる場合があります。早めに動くことが財産分与の取り分を最大化することにつながります。
【チェックリスト】「もらえる側」が離婚後にやること
- ☑ 婚姻中の財産状況を整理する(通帳・証券口座・不動産・保険)
- ☑ 相手の財産に関する情報を記録しておく(勤務先・利用銀行・不動産の把握)
- ☑ 弁護士に相談して財産分与の請求可能額を把握する(できるだけ早く)
- ☑ 除斥期間(5年)の期限を計算しておく(離婚成立日から5年 = いつまでか確認)
- ☑ 相手が財産を隠していると疑われる場合は情報開示命令の申立てを検討する
「守る側(高所得者・経営者)」が注意すべきリスク

5年延長で何が変わるか
財産を多く持つ側(高所得者・経営者)にとって、5年延長は「より長い期間にわたって財産分与を請求されるリスクが継続する」ことを意味します。
改正前(2年)の状況
- 「2年逃げ切れば安全」という発想が成立した
- 財産隠しの時効的安全ゾーンが短かった
- 離婚後2年超えると相手の請求権が消滅
改正後(5年)の変化
- 5年間は財産を請求されるリスクが継続
- 情報開示命令で財産隠しが発覚しやすくなった
- 特有財産の証明書類を5年間保全する必要
守る側がやるべき3つの対策
対策①:特有財産(婚前資産・相続財産)の証明書類を5年間保全する
婚前から持っていた資産・相続で取得した財産は財産分与の対象外(特有財産)ですが、証明できなければ対象外として認められません。通帳・贈与税申告書・遺産分割協議書などを5年間保管してください。
対策②:離婚時に財産分与を「確定」させる合意書を作成する
「財産分与の合意が成立した」という合意書・調停調書を離婚時に作成しておくことで、後からの追加請求に対抗できます。弁護士と相談して「財産分与完了」の確認書類を整えることが重要です。
対策③:情報開示命令への合法的な対応策を準備しておく
開示命令が来た場合の正しい対応は「隠す」ことではなく、「特有財産であることを証明できる状態を整えておくこと」です。弁護士と事前に財産の整理を行っておくことが最善の対策です。
→ 高所得者・経営者の財産防衛の詳細:高所得者・経営者が離婚で財産を守る方法
財産分与の具体的な請求手続き
まず協議(話し合い)で解決を目指す
財産分与はまず夫婦間の協議(話し合い)で解決を目指します。合意できれば公正証書や合意書に残しておくことで、後からのトラブルを防げます。
協議が難しい場合:家庭裁判所の調停・審判
協議がまとまらない場合、家庭裁判所に財産分与の調停を申し立てることができます。調停でも合意できない場合は審判に移行し、裁判官が財産分与額を決定します。
重要なのは、除斥期間(5年)内に調停の申立てを行うことです。申立てが5年以内であれば、その後手続きが長引いても権利が消滅することはないとされています。
→ 調停手続きの詳細:調停離婚の流れと中断した場合の対応
よくある質問(FAQ)
Q1. 2025年に離婚しました。財産分与の請求期限は2年ですか?5年ですか?
A. 2026年4月1日より前に離婚が成立している場合は、旧ルールの「2年」が適用されます。2025年の離婚であれば2027年以内に請求する必要があります。5年延長の対象外ですので、お急ぎください。弁護士への相談をお勧めします。
Q2. 離婚後4年経ってから相手の隠し財産を発見しました(2026年4月以降の離婚)。請求できますか?
A. 2026年4月以降の離婚であれば、離婚後5年以内であれば請求できます。ただし起算点は「財産を知った日」ではなく「離婚成立日」です。離婚後4年の発見であれば残り1年以内に請求手続きを完了させる必要があります。すぐに弁護士に相談してください。
Q3. 情報開示命令は拒否できますか?
A. 正当な理由なく拒否した場合は10万円以下の過料が設けられています。また開示拒否・虚偽申告の事実は記録に残ります。「隠す」ことではなく、特有財産の証明書類を事前に整えておく合法的な対応が重要です。
Q4. 財産分与の請求期限(除斥期間)は、交渉中でも止まりませんか?
A. 除斥期間は中断・停止しません。相手と話し合っている最中でも、除斥期間内に調停の申立てを行わないと権利が消滅するとされています。「話し合っているうちに期限が切れた」とならないよう、弁護士への早期相談が重要です。
Q5. 財産分与の合意書はどの形式にすればよいですか?
A. 最も効力が高いのは「公正証書」です。公正証書に「強制執行認諾文言」を入れておくと、相手が合意を守らない場合に裁判なしで強制執行を申立てることができます。弁護士と相談して適切な形式で作成することをお勧めします。
Q6. 財産分与は離婚後でも請求できますか?離婚前に決めておかないといけませんか?
A. 離婚後でも除斥期間(2026年4月以降の離婚は5年)以内であれば請求できます。ただし、離婚後に財産分与の請求をしようとすると相手が非協力的になることが多く、証拠収集も難しくなります。できる限り離婚時に取り決めをしておくことをお勧めします。
まとめ:5年延長で変わったこと・変わらないこと
2026年4月の改正で財産分与の請求期限が5年に延長されたことで、「後からでも請求できる」可能性が広がりました。しかし変わらないことも重要です。
- 変わったこと:請求期限が5年に(2026年4月以降の離婚のみ)・情報開示命令で財産隠しに対抗しやすくなった
- 変わらないこと:起算点は「離婚成立日」(財産を知った日ではない)・除斥期間は中断・停止しない・2026年4月以前の離婚は2年ルール
「5年に延長されたから慌てなくていい」ではなく、「5年以内に確実に請求するために早めに動く」という姿勢が重要です。特に、相手の財産が疑われる場合は情報開示命令を活用するために、弁護士への早期相談をお勧めします。
→ 2026年法改正の全体像はこちら:2026年4月 離婚法改正まとめ|共同親権・養育費・財産分与・保護命令の変更点
→ 財産を守りたい側の詳細:高所得者・経営者が離婚で財産を守る方法
免責事項・ご利用にあたって
本記事は、離婚に関する一般的な情報の提供を目的としており、 個別の法律相談・法的アドバイスを行うものではありません。
記事の内容は、執筆時点の法律・判例・実務に基づいており、 法改正・判例変更等によって内容が変わる場合があります。 最新の情報については、必ず弁護士等の専門家にご確認ください。
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【法改正対応について】
本記事は2026年5月現在の法律に基づいています。
共同親権制度(2026年4月施行)等の重要改正については、
最新の法律情報をご確認ください。
この記事を書いた人
narita
【基本情報】 narita(なりた)|38歳・男性・千葉県在住 離婚経験: 2020年 協議離婚|婚姻期間: 4年|子どもの有無: なし 主な離婚理由: 自身の不貞行為(有責配偶者) 【プロフィール】 2020年、自分の浮気が妻にバレてスピード離婚した。有責配偶者だったため、慰謝料を払う立場は明白だった。妻側の弁護士から「200万円」を提示されたとき、「これが相場なのか」と思い込み、そのまま応じた。 後から調べると、婚姻期間4年・子どもなし・立証された不貞行為1回の場合、50〜100万円程度が相場だと知った。3ヶ月間の交渉と100万円超が、まともな知識があれば防げた損失だった。 「有責配偶者でも知識があれば守れるものがある」。それを伝えたくて、浮気・慰謝料の記事を書き続けている。 【担当ジャンル】 浮気・不貞行為の慰謝料(支払う側・請求される側の両視点)/離婚回避・夫婦関係修復/有責配偶者の離婚条件・交渉術 この著者が担当する理由: 有責配偶者として慰謝料交渉を経験したことで、「相手の弁護士がどう動くか」「どこで折り合いがつくか」を実感として持っている。「自分が悪い側」の視点から書けるライターは少なく、差別化できるポイント。 【情報収集・執筆プロセス】 1. 裁判所公開の離婚調停・慰謝料に関する司法統計を確認 2. 不貞慰謝料の判例(最高裁・東京地裁等)を法律データベースで確認 3. 「相場」として記載する金額は、複数判例から導いた中央値を使用 4. 法改正(特に2026年4月民法改正)の影響を確認済み 慰謝料は「ケースによって数十万円の差が出る」ため、記事内に必ず「あくまで目安」と注記し、弁護士相談を促す文を配置。


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